基本の箱根めぐり
少し涼しくなってきて、夏休み気分の学生たちが落ち着いてくると、無性にひとり旅に出たくなりますよね。
私は海が好きで、泳ぎもしないのに海に行くことが多かったのですが、最近波の音がけっこううるさいと感じるようになってしまいました。心が荒んでいるのでしょうか?
そこで今回は山に行くことにしました。といっても、静かすぎる山は一人ではこわすぎるので、そこそこ人のいる山ということで、箱根に行くことにしました。行く日の朝に突然決めたので、基本コースをゆるりとまわることにします。
新宿からロマンスカーに乗る
通勤ラッシュの中央線(女性専用車両)に乗り、新宿へ向かいます。家を出たのは7時50分くらいと遅めです。
新宿駅についたら、早速小田急トラベルの窓口へ。JRでいうみどりの窓口的なところです。こちらで、2日間有効の箱根フリーパスと往復の特急券を購入しました。日帰りなのになぜ2日間有効のものを買うかというと、ズバリ1日用のフリーパスというものはないからです。
2日間有効とはいえ、新宿↔箱根間の往復は1回しかできないので、一旦帰ってから次の日もまた箱根に…ということはできませんので悪しからず。
箱根フリーパスは新宿から5140円、これに往復の特急券(片道890円)を付けると合計6920円になります。これが得になるか損になるかは、最後に検証したいと思います!
箱根フリーパスについてはこちら
なお機械がお得意な方は、これらの券を券売機で普通に買うことができます。
あらかじめ箱根に行くと決めているのであれば、前もってネットで座席を予約しておくことをお勧めします。なぜなら、席が選べるからです。また、今回のように急きょ「箱根行っちゃお!」と思っても、満席ということが多々あります。事前に空席情報くらいは調べておかないと、早朝の新宿で立ち尽くすことになる可能性があるので要注意です。
必ず時刻表をもらいましょう。一人旅の心強い味方。
さあ、無事に切符を購入したら、駅構内のカフェで旅のわくわく感を満喫しちゃいましょう。ホームはキャリーケースを持った旅人たちであふれ、自然と気分は高まります。ロマンスカーと別のホームには、普通列車に乗ろうとサラリーマンやOLたちがごった返しています。人々が働いているときに遊びに行く幸せ。まさに平日ひとり旅の醍醐味ですね。
ロマンスカーカフェ
飲食サービスのご案内|ロマンスカーの旅|特急ロマンスカー|小田急電鉄
・・・となる予定だったんですが、今回は時間ぎりぎりでカフェで列車を待つどころではなく、売店で適当に掴んだサンドイッチを買ってあわてて電車に駆け込みました。もし万が一何も買えなくても、箱根行きロマンスカーなら車内販売ありなのでご安心を。※片瀬江の島行は車内販売なし
一人で電車に乗ると、気になるのは隣の席の人。幸い今回は隣が普通のサラリーマンで一安心でしたが、これが3人グループで向き合わせちゃった席の1つ余った席だったりしたら、いたたまれませんね...。
さて、無事にロマンスカーに乗れて安心したので、学校に行っている娘にLINEでメッセージを送ることにしました。
うしょだ‼︎と認めない娘。
嘘じゃないことを証明しなければなりません。隣の席の人が寝始めたら自撮り開始。音の出ないカメラアプリを使います。
(白目をむいた)証拠画像を送り、娘を黙らせました。
落ち着きのない外国人たちが通路をうろちょろするので、白目自撮りは意外と苦労しました。白目である必要性に関しては、単なるサービス精神からでしかありません。しかし旅の恥は掻き捨て。万一見られても気にする必要などないのです。驚くべきことに、車内の6~7割は外国人でアジア系だけでなく、欧米などいろんな人種であふれてドキドキしました。車内販売ではアメリカ人ぽい家族が、ロマンスカー形の弁当やらスイーツやら日本人なら買わなそうなものを買いまくってました。何か口に入れる前に必ず匂いを嗅いでいたのがおもしろかったです。
箱根湯本から登山電車で強羅へ
8時53分新宿発のロマンスカーは10時36分に箱根湯本へ到着です。そろそろ到着という頃、車内ではいち早く降りたい外国人たちが前の方の車両へゾロゾロと大移動し始めます。私もその列に並びました。なぜなら、箱根湯本から出る登山電車が10時38分発なので、降りてすぐ乗り換えなければならないからです。外国のツアー客は、そんなこともよく知っているのです。
ロマンスカーを降りてすぐ、ホームを走り強羅行きの登山電車に乗り込みます。外の空気はひんやりと肌寒く感じました。
残念ながら満席で座れませんでした。座れそうな場所はあったのですが、外国人が荷物を置いていて座れませんでした...。ガン見して「お・も・て・な・し」さながら「座・り・た・い」をアピールしたのですが、まるで無視されました。
登山電車は健気に山を登っていく赤くてかわいい電車です。途中「電車はこれ以上の急こう配を上がれないため」というアナウンスが入り、スイッチバックを3回します。登山電車では湯本駅で乗る側(ドアが開いている方)に座るのがおすすめ。はるか下を流れる川や斜面、山間の風景からどんどん標高が高くなっている様子がわかります。車内アナウンスでは景色の説明をしてくれていますが、車内がにぎやか(うるさ)すぎて全く聞こえませんでした。もっと風情を楽しみたかったんですけどね・・・。この沿線には温泉宿が多く、外国人は「Oh、ジャパニーズ...RYOKAN」と言ってうんうんうなずいていました。廃墟好きにはたまらない、窓の割れた廃れたホテルなども遠くに見えました。
夕刊フジのCMで(中年世代には)おなじみの彫刻の森美術館を過ぎると、終点の強羅駅です。時刻は11時19分。割と長い時間だったのと英語が飛び交ってたので疲れました。やっぱり座りたかったなあ。
強羅~早雲山~大涌谷
強羅を降りてすぐ、今度は箱根登山ケーブルカーに乗り換え早雲山を目指します。強羅周辺も良さげですが、時間がないため先を急ぎます。ここのホームは激狭で人でごった返していますので、ホームから落っこちないように気を付けましょう。早雲山までは10分くらいなので、座れなくてもなんとか我慢できるでしょう。
ケーブルカーを降りたところ。
早雲山に着いたら、いよいよロープウェイに乗ります。ロープウェイってついロープーウェイって言っちゃいませんか?
さて、噴火警戒レベルが出てしばらく運休になっていた箱根ロープウェイですが、7月から全線開通となりました。噴火前の夏休みに行った時は乗るまでに30分以上並んだ上、座ることもできなかった気がするけど、今回はまったく待たずに乗ることができました。もちろん余裕で座れます!ノンストレス!
ガスの匂いが気になるようならマスク代わりに使うようにと、乗る前におしぼりを渡される。
箱根の雄大な景色や富士山を楽しみたいなら右後ろ、大涌谷の景色を見たいなら左に座りましょう。今回はあいにくの曇り空で富士山は見えず。
山を越えて突如現れる、地獄のような風景。
ここで鬼が歩いていても不思議ではないかも。黒沢明の「夢」という映画に出てきたときのいかりや長介のような鬼がいても。
大涌谷でいったんロープウェイを降りて、黒たまごを買いに行くことにします。
大涌谷の駅を降りると、硫黄の臭いとモーモーの煙を間近に感じることができます。
モーモーで硫黄の臭いがします。
この辺りでは自撮り棒を使って記念撮影してる人たちがめっちゃいました。そっか、自撮り棒持ってくればよかった!と後悔。一人で自撮り棒使っている人は皆無でしたけどね。
周辺のおみやげ屋さんで、黒たまごを買おうとしますが、どこも売り切れ・・・!時刻はちょうど12時でしたが「あと10分で入荷します」というので、黒たまご待ち列に並ぶことにしました。私の前に並んでいたおじさんが、「並んでいれば本当に買えるのか」とヤキモキしていました。前の人が大量に買って万一売り切れたらどう責任とってくれるんだとずっと悶々としているのです。わざわざこれを買うために来たんだそうで。10分経ったらたくさんの黒たまごが入荷され、おじさん含め無事に買うことができました。(黒たまごを買うのに並んで待ったという)お互いの健闘を称えあい、おじさんと笑顔でお別れしました。
5個入りで500円。アツアツ。
余談ですが、黒たまごは1つ食べると寿命が延びるといわれているんです。家に帰って娘と食べてるとき娘が「えーっと、1つ食べると寿命が1日延びるんだっけ?」というので、「え!?1日だけって短くない?3年くらいじゃないの」って言ったら「そんなに長かったら、5個食べたら15年も延びちゃうよ!えーっと1年だっけ・・・?いや、1か月だったかな!」「1か月ってやけにリアルだな...」
というやりとりをしたのですが、正解は7年だそうです。2個ずつ食べたので、私たちの寿命は14年延びました。
黒たまごを作っている奥の方へ行く登山道は通行止めとなっていて、今回行くことができませんでした。
桃源台から海賊船に乗って元箱根へ
黒たまごをゲットできたので、次の目的地「桃源台」へ向かいます。再びロープウェイに乗ります。
今度は山を下りていくのですが、先ほどの大涌谷の地獄のような景色とは打って変わって 山の木々が広がります。一緒に乗っていた外国人たちもしゃべることを止め、静かな時間が流れます。死後の世界ってこんな感じだろうか?
終点の桃源台へ着いたら、腹ごしらえをします。今回はあまりディープなことをしたくなかったので、桃源台ビューレストランというお手軽レストランで食べることにしました。
レジで注文して、ピーピーと鳴ったら取りに行く方式です。料理はすぐできます。
出港までの時間がないので、芦ノ湖を見ながらふわとろオムライスを掻っ込む。
13時10発の海賊船に乗ります。箱根フリーパスで乗れるので、切符を買う必要はなし!
私が乗ったのは、ビクトリー号。
この船には車いすの人をよく見かけました。それもそのはず、船内にエレベーターがついていて、デッキまで出ることができるのです。車いすでも箱根を楽しむことができるんですね。
船は箱根町、元箱根へと向かい、また桃源台に戻ってきます。フリーパスなのでどこで降りても乗ってもOK。今回は元箱根まで行って、箱根神社をお参りすることにします。
箱根に別荘なんてあったらいいなあ。
途中の箱根町でほとんどの人が降りてしまうのでかなり不安になりますが、自信を持ってそのまま乗ってて大丈夫です。箱根町から新たに乗ってくる人もたくさんいます。ちなみに今回は行きませんでしたが、箱根町には関所跡という観光スポットがあります。
船から見える景色で、湖畔に赤い大きな鳥居があるのが見えます。NHKの天気予報でも「今の箱根の様子です」って芦ノ湖と赤い鳥居が映りますね。そこが箱根神社です。船を降りて、湖畔沿いに歩いて山の方へと向かいます。
この周辺では、また外国人が増えてきました。そしてなぜか犬連れの人が多い。石段を登って、お参りします。
そんなに大きな神社ではない。ちょうどいい感じ。
船から見えた鳥居は外国人が一人ずつ記念撮影をしていて、湖に近いところまでは行くことはできませんでした。
元箱根に戻るため、湖畔沿いの道を進みます。この道は歩いている人がほとんどいなくて、やっと喧騒から離れた気がしてほっとしました。
鳥の鳴き声と湖の水の音だけ。一人になれた感。
箱根湯本に戻り、日帰り温泉湯寮へ
元箱根からバスで箱根湯本へ戻ります。元箱根の船を降りた近くにバスターミナルがあるのですが、ものすごく並んでごちゃごちゃしています。係員がいるのでわからなかったら聞きましょう。
たまたま来たバスは14時40分発箱根湯本行の急行、超満員でした。箱根新道をほとんど止まらずに行くので、とにかく早かったです。急カーブの坂道を転がるように降りていくのでこわかったですが。。。以前乗ったバスは「お玉が池」や「小涌園」などを経由するため観光気分を楽しめるのですが、時間がもっとかかった気がします。
さあ、今回の旅の締めくくりは温泉です。箱根湯本に着いたら、道路の反対側に行き「箱根湯寮行」の無料送迎バスに乗ります。時刻は15時20分。バスは10~15分間隔で出ているので便利!
湯寮は日帰り専門の温泉で、露天風呂やリラクゼーション施設、食事処もあります。
なんといっても箱根湯本から車で約3分というアクセスの良さと、日帰り客だけという気兼ねのなさから、帰りの電車に乗るまでの時間調整にはもってこいなのです!そして温泉に入った後に、ゴロ寝する場所が充実しているのも気に入っています。
もちろん、手ぶらでOK。バスタオル(450円)フェイスタオル(250円)購入できます。
森を眺めながら、露天風呂に入る幸せ。やっぱ温泉最高!
しばらく無心で浸かっていると、後ろのベンチで「おかあさん?ちょ、おかあさん、大丈夫?」と声がして振り返ると、おかあさんが半白目で娘さんに揺さぶられてました。サウナで貧血になったようです。しばらくしたら治ってほっとしましたが、私もこのおかあさんのようになってはいけないと思い、サウナはやめておきました。ちなみにこの温泉でも外人さんたくさん見かけました。
うたたね房にてしばし休憩。娘にLINEを送ります。
また白目をむいておりますが、先ほどのおかあさんではありません。
16時40分の送迎バスに乗って湯本駅へ戻り、最後の1時間でお土産を選びます!
お土産選び、そして帰路へ
湯本駅周辺はおみやげ屋さんがずらりと並んでいます。
看板猫
どこで何を買うかは毎回悩むところで、いろいろ覗いてみるんですが、結局駅のココで買うことが多いです。
箱根の市
職場の人へのお土産を買い、ちょうどロマンスカーの時間になりました。帰りの電車は行きよりも空いていたため、隣に誰も座らずのびのび。トイレに行きたくなるのでビールは我慢します。
途中、小田急線と鹿との接触事故があったという放送が流れ、一瞬車内がざわつくことがありましたが、無事に新宿につきました。
家に到着したのは20時過ぎ。いい時間に帰ってこれました。
まとめ 箱根フリーパスは日帰りでもお得だったのか
今回の旅でかかった費用は
交通費6920円、食費1700円、温泉(タオル含む)2100円、他お土産とだいたい1万円ちょっとでした。胃の調子が悪く、私にしてはあまり食べなかったので、食費が安く済みましたね。
最後に、箱根フリーパスが本当にお得だったのか、検証してみたいと思います。
箱根フリーパス+往復特急券 6920円
フリーパスを使わなかった場合
〇 ロマンスカー(新宿↔︎箱根湯本)
1190円+890円(特急料金)×2(往復)
〇登山電車
400円(箱根湯本→強羅)
〇箱根ケーブルカー
420円(強羅→早雲山)
840円(大涌谷まで)
1050円(桃源台まで)
〇箱根海賊船
1000円(桃源台→元箱根)
960円(元箱根→箱根湯本)
以上で....
8830円!!
おおー!1910円も得しました~!日帰りでも、行く場所によってはかなりお得になる!ということがわかりました。
いかがでしたか?私のように箱根を一人で旅してる人はあまり見かけませんでしたが、女一人でも安全に十分楽しむことができました。
さて、最初の方で「旅の恥はかき捨て」と言いましたが、要所要所で、この人ロマンスカーに乗ってた家族だなとか、この人さっきもいたな…って感じで見かけるので、箱根ではあまり羽目を外さないようにしたほうがいいかもしれません。
外国人の多さには本当にビックリしましたが、外国人向けに何か商売すればうまいこと儲かるんじゃ…なんて思ったので、これから真剣に考えたいと思います。それではさようなら。